ここは、株式会社トミーウォーカーのシルバーレインで活動しているキャラ『桐嶋夜雲』のブログです。
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ゆらり、と小さく揺れる灯りを見て、初めて己の周りが暗いと気づいた。
虚には何も響かず。
凪いだ果てには、彩りなど無く。
冷え冷えと乾いて柔らかに広がるそれを、闇と呼ぶのだと初めて知った。
灯りが揺れるごとに、大きさを、明るさを増していくように思えて、ひたすら灯りに見入っていた己に気づく。
茫洋たる闇のなか、見渡しても光っているのは唯一つの灯りだけで。
消え去る気配のない灯りに、そっと近づけば、楽しそうに瞬いた。
消えてしまったらと、陰ってしまったらと、怖くて。
灯りそのものには触れられなかった。
だから、灯りが照らし出す淵に、慎重に手を伸ばした。
暖かさに、深奥がほろりと綻ぶのが分かる。
嬉しくて、楽しくて、もう一歩と踏み出して ── ビクリと身を竦ませた。
目が眩むような、強烈な飢え。
奪いたいと、呑み込んで閉じ込めてしまえたらなどと、怖さを上回りそうな程の甘くて蕩けそうな波に浚われそうになって、立ち竦む。
どうすれば良いのか、分からない。
竦んで俯いた先にある赤黒い掌に、震えが走った。
どうしたら、と、何処にも動けず蹲る。
いっそ。
灯りに目を焼かれてしまえば、と願う。
側に灯りが在ってさえくれれば。
動けずとも、盲いた世界はきっと今までよりも仄仄と明るいだろうに。
怖くて。
怖さで。
声も出ない。
それでも、灯りを喪う以上の恐怖は無かった。
赤黒い染みの取れない手でも良いのなら。
凍えた腕でも良いのなら。
焦げた吐息でも良いのなら。
逃がさず捕らえて離さないから。
どうか、どうか。
消えないで。
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