ここは、株式会社トミーウォーカーのシルバーレインで活動しているキャラ『桐嶋夜雲』のブログです。
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風の気持ち良い、晴れた日の午後だった。
高校という組織に入って二年目の春。
今だに教室という場に慣れない夜雲が、屋上にてサボりを決め込んでいた所へ、彼 ―― 宮瀬玻璃はするりと入り込んできた。
高校という組織に入って二年目の春。
今だに教室という場に慣れない夜雲が、屋上にてサボりを決め込んでいた所へ、彼 ―― 宮瀬玻璃はするりと入り込んできた。
寝転がっている夜雲から、ほんの少し離れた場所へと位置取ったかと思うと、おもむろに取り出したスケッチブックを広げる。
そして、夜雲の存在など露ほども感じていない様子で、ただ一心に風景を映し取り始めた。
変なヤツ、というのが第一印象。
先に陣取っている、しかもすぐ傍に位置する夜雲を一顧だにしないのだ。なかなか出来る事ではない。
腰までの長い髪に、線の細い柔らかな面差しに女かと見紛うが、着ている制服は男子のもの。
薄い気配に、一般人ではないな、と夜雲は当たりをつける。
「…なぁ……お前、何て名前?」
声をかけたのは夜雲から。
何故かと問われれば、気紛れ、としか答えられない。
敢えて言えば、面白そうな予感がした、というところか。
「ハリ」
応えは、短く。
そして漸く向けた視線だけで、夜雲の名を問うてくる。
深く煙る様な蒼の瞳。微かに混じる紫が、その蒼をより深くしているようだった。
「名前は、と聞かれたらフルネームで答えろよ、一年坊主」
婉曲に自分が二年だと匂わせて重ねて問い返すが、玻璃はそれを感じ取る風ではなく、ただ首を傾げて、ぱちりと瞳を瞬かせた後、ほんの僅か瞳を細めた。
表情筋は全くといっていい程動かなかったのに、夜雲は玻璃が笑ったのだと感じた。
「…宮瀬ハリ、と申します」
「どんな漢字だ、ハリって?」
「七宝の玻璃です」
「あぁ」
頷いたものの、夜雲の頭にはおぼろげにしか漢字は浮かんでこない。
いずれ分かるかと気に留めず、貴方は?と改めて問う玻璃に名を名乗る。
「桐嶋夜雲だ」
「こんにちわ、桐嶋…さん?」
「夜雲でいいさ」
「では、夜雲さん、ですね」
今更ながらの挨拶をする玻璃に、思わず笑いながら夜雲は答えた。
不思議と、桐嶋と呼ばれていつも感じる違和感はなかった。
だからそのままでも良かった筈なのに、気付けば名を許している自分がやたらと可笑しくて、ひたすら笑う。
どうやら、玻璃を気に入ったらしい。
と、夜雲が自覚したのは、玻璃がスケッチを終えた頃の事。
夕日が傾くそんな時間まで、殆ど会話らしい会話もなく、それでもノンビリとしていられたという事実に気付いた時である。
そして、夜雲の存在など露ほども感じていない様子で、ただ一心に風景を映し取り始めた。
変なヤツ、というのが第一印象。
先に陣取っている、しかもすぐ傍に位置する夜雲を一顧だにしないのだ。なかなか出来る事ではない。
腰までの長い髪に、線の細い柔らかな面差しに女かと見紛うが、着ている制服は男子のもの。
薄い気配に、一般人ではないな、と夜雲は当たりをつける。
「…なぁ……お前、何て名前?」
声をかけたのは夜雲から。
何故かと問われれば、気紛れ、としか答えられない。
敢えて言えば、面白そうな予感がした、というところか。
「ハリ」
応えは、短く。
そして漸く向けた視線だけで、夜雲の名を問うてくる。
深く煙る様な蒼の瞳。微かに混じる紫が、その蒼をより深くしているようだった。
「名前は、と聞かれたらフルネームで答えろよ、一年坊主」
婉曲に自分が二年だと匂わせて重ねて問い返すが、玻璃はそれを感じ取る風ではなく、ただ首を傾げて、ぱちりと瞳を瞬かせた後、ほんの僅か瞳を細めた。
表情筋は全くといっていい程動かなかったのに、夜雲は玻璃が笑ったのだと感じた。
「…宮瀬ハリ、と申します」
「どんな漢字だ、ハリって?」
「七宝の玻璃です」
「あぁ」
頷いたものの、夜雲の頭にはおぼろげにしか漢字は浮かんでこない。
いずれ分かるかと気に留めず、貴方は?と改めて問う玻璃に名を名乗る。
「桐嶋夜雲だ」
「こんにちわ、桐嶋…さん?」
「夜雲でいいさ」
「では、夜雲さん、ですね」
今更ながらの挨拶をする玻璃に、思わず笑いながら夜雲は答えた。
不思議と、桐嶋と呼ばれていつも感じる違和感はなかった。
だからそのままでも良かった筈なのに、気付けば名を許している自分がやたらと可笑しくて、ひたすら笑う。
どうやら、玻璃を気に入ったらしい。
と、夜雲が自覚したのは、玻璃がスケッチを終えた頃の事。
夕日が傾くそんな時間まで、殆ど会話らしい会話もなく、それでもノンビリとしていられたという事実に気付いた時である。
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