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This blog is Written by 和水,Template by ねんまく,Photo by JOURNEY WITHIN,Powered by 忍者ブログ.

ここは、株式会社トミーウォーカーのシルバーレインで活動しているキャラ『桐嶋夜雲』のブログです。
心当たりのない方は回れ右で脱出をお願いします。

※ここに掲載されるイラストは、株式会社トミーウォーカーの運営する『シルバーレイン』の
世界観を元に、株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。
イラストの使用権は作品を発注した和水に、著作権は各クリエーター様に、
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01/24 迷い路
「お前…成人式に行ったんじゃなかったのか」

 玲人が昼食を取りに帰って来たら、だらりとソファに寝転がっている夜雲を見付けたのである。
 本日、晴れがましく成人式に臨んでいるはずの夜雲を見付けて、流石の玲人も呆れた声しか出ない。


 心底呆れている玲人の声に、しれっとした夜雲の応えが返る。

「だって…正装ならネクタイしなきゃダメって綾子姐さんが言うから…」
「……お前な……」

 夜雲が極度の面倒臭がりなのは知り尽くしているつもりの玲人であったが、まだまだ甘かったのかもしれないと溜息を一つ。
 確かに、成人式に出たから成人するわけでもないので、出ないからといって不都合はない。
 ただ、サボるにしてももう少し尤もらしい理由ってのがあるだろう、と。

「式に出なくたって、年、取るし。構わねぇだろ」

 続く夜雲の言葉は、玲人の考えを読んだかのようなものだったが、肝心要の心境までは汲み取ってはいない。

「まぁ、いい。それで、お前は…どうする気なんだ?」
「何を?」
「成人するんだろう」
「そう、だね…」
「で、どうするんだ…進路、とやらは」
「…んー…」

 やや強引に成人式から話題を変えた玲人に、夜雲の返答は歯切れが悪い。
 おや、と玲人が視線を向けると、視線を外しながら姿勢を正すという妙な態度の夜雲の姿が目に入る。
 内心だけで首を傾げた玲人は、表面上は気付かない振りで夜雲の出方を待つ。
 やがて、覚悟が出来たのだろう。夜雲が徐に顔を上げた。

「俺…、盃を受けるかどうか、も少し考えようかと、思って…」
「ほう」
「一先ず、大学、卒業する」
「ああ」
「その後、どーするかは…まだ、これからだケド」
「そうか」
「そんだけ?」
「何がだ」
「俺、盃受けねぇかもって言ってんのに…」
「そうだな…。もし堅気になるなら、実家が此処だって知られないように気をつけるんだな」
「……へ?」

 玲人の返答は、明らかに夜雲の予想外だったのだろう。
 目を白黒させて間抜けな面を晒している夜雲に、吹き出すのを漸う堪えた玲人が言葉を繋ぐ。

「実家が組だなんて知れたら、それだけで堅気衆は身構えるからな。今から用心しておけ」
「うん………て、いや、そうじゃなくて」
「何だ?」
「俺、堅気に…仮になったとして、此処が実家になんの?」
「当たり前だろう。他にお前の実家があるなら、言ってみろ」

 無い。
 とは、夜雲は言葉に出来なかった。
 捨て子だった夜雲には、元より桐嶋組以外に戻る場所などない。
 そして、だからこそ。
 堅気になった場合に、此処に戻ってきていいと言われるとは思わなかった。堅気になった自分を、桐嶋組が置いておく意味はないからだ。
 玲人の言葉を、どう受け止めるべきか ── よく分からないまま、結局夜雲は言葉を失ってしまう。

「まぁ、良く考えて決めるんだな。お前自身の道を、な…」

 そんな夜雲の様子に、玲人の口元に淡く笑みが浮かぶ。
 漸く芽が出てきたらしい、夜雲の意志にホッとしたかのように。
 或いは、混乱の只中にいる夜雲を面白がるように ── 。
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